ちょっとの違いで大違い

ロードバイク(主に自転車の長距離レース用自転車)のコンポーネント(変速機、ブレーキ、ギヤなどの駆動パーツ群)にはランクがあって、例えばSHIMANOの場合だと下から《SORA》《Tiagra》《105》《ULTEGRA》《DURA-ACE》の5ランクのコンポーネントがあって、何が違うかというと、重さ(軽いほど良い)だったり耐久性だったり駆動精度だったりするようですが、ロードバイク初心者はもとより乗りなれた人でもその違いがすぐわかる…というわけじゃなかったりするようで、そもそも下位のSORAからして、ショッピングしたり子どもを乗せたりとかじゃあない、走ることそのものを目的としたロードバイクという車種のコンポーネントですので、充分に高性能なわけでまあ快適に走ることが出来るのでしょうけれど、最上位のDURA-ACEと値段を比べると例えばチェーンの値段を手元の資料で調べたら3倍近く違っていて、まーそりゃあそれぞれ、一般のひとがレジャー的に乗る用とロードレース世界一を決めるツールドフランスやらで勝負できるレベルの選手用ってことなのですから3倍の違いはむしろ大きな差ではないのかもしれませんが(ちなみにパーツを含めた自転車全体の値段だと入門用のSORO搭載車は数万、DURA-ACE搭載のプロ仕様車だと100万超します)いったい何がそんなに違うのか、重さったってコンポーネント全体で数百グラム程度のちがいのはず(本職さんに怒られそうですが)しかも5ランクに細分化されている、その意味は? 思うにそれは10km走っただけではわからない、ペダルのひと踏みごとにクランクが回りチェーンを引っ張りギヤを駆動させタイヤを転がし推進する過程で、人間が自転車に加える力が推進力に変化するまでの全ての工程で、その連続の中で、知覚し得ない微細な負荷が全パーツの間を伝播しているはずで、コンポーネントの違いはきっと数千km、数万km走った先で大きな差となって表れる、のだと思いますそれは速さか距離か時間か人間の感情や疲労度へか、その全てか、上位コンポーネントの意義はここにあると思います、プロのツアーレースは一日百数十kmを長ければ20日を超える期間連日走り続けるわけで、パーツ性能の違いは普通のひとには微細な差異の連続すぎて全くわからなくてもプロにはひと固まりの違和感やら疲労度やらとなって知覚されるはずで、良いものの良いものたる所以はハードに、又は長く使わないとわからない、という場合が多分にあろうと思うわけで、いやまあ単純に合わない靴で出掛けると帰るころにはくったくたになるぞ! というと共感しやすいでしょうか、良いものはたいてい高価だけれど、それが道具なら、使い続けるうち、同じ用途でも安価なものとは使うたびに感じるストレスが違っていて、なんだか日々がすこしだけたのしかったりして何年か先の利益になっていたりするやもしれなくて、コストの低い選択をするよりも高価でも性能を選ぶことは結果的な収支は後者のほうが高くなるのではないかということだったり、そういやあ、家庭用にはけっこう高価な1万円のドリップポットで淹れる珈琲でセトコーヒーを知ってくれるひとはずいぶん増えたなあということだったり、いやいやとにかく、長く使う可能性が高い道具は値段できめちゃあだめだぜ、という話ですよ、使い勝手だけじゃなく使うときのストレス度合いやらデザインによる高揚感だとかで、使えば使うほどコストは際限なく希釈されそれを使用して得られる価値は上昇してゆく、かもしれませんねぇーーほぼ日手帳べんりっ!