マザーさん、大成功です

MOTHER3
MOTHER3

いま『MOTHER3』やってます。
やっぱスゲェや!

画面を飛び出して人を切る深く鋭いセリフや、
誰もが誰かに共感できる生き生きしたキャラたち、
ゲームそのものと物語そのものを
イジりたおすかのごとき秀逸なストーリー、
とか、特筆するとこいっぱいありますけど、
たぶんどれも、糸井重里ゲームクリエイターじゃないから
できた部分だなーと思いました。
発想がゲームとしての定石とか制約の外から出てきてる感じ。

『MOTHER3』発売記念として、
ほぼ日刊イトイ新聞」のサイト内で、
糸井重里と『MOTHER』シリーズ大ファンの伊集院光
生中継対談があって、
そこにゲストとして、
同じく大ファンの小説家・川上弘美が登場したんですが、
この川上さんの話がおもしろかった。
彼女は後のインタビューで『3』を十数回もプレイしてて、
セリフを書きだしたりした、って語るほど熱心なファンで、
この生中継で過去のシリーズの思い出を語っています。
その中で「『2』で一番こわかったのはどこか?」っていう話になって、
川上さんが答えたのは「砂漠いる3人の人間スロットマシン」だって。
あのメキシカンな格好してて
体の四方に数字の書いたプレートをさげてる人たちです。
いつでもずっと砂漠の真ん中にいて、
ただ黙々とスロットマシンをやってくれるっていうのがこわいそうです。
なんか、小説家の感性の敏感さが伺える話ですし、
たしかに想像するとこわい気もします。

えーと、つまり、『MOTHER』シリーズは、
すごく丁寧に考えて作られてるせいで、
突拍子もないものごとがたくさん出てくるのに、
深く考え込んでしまえるだけの懐の深さを持ってるってことです。

あと、まあ、ぼくが糸井さんと『MOTHER』シリーズを
妄信してしまってないか自分で心配ですけど、
この人はものを作って人に触れてもらうとき、
触れる人の想像力を意識することが
どれだけ大事かをすごく深く考えてる気がします。
コピーライターって短い言葉で、
人々の心を動かさないといけない仕事だから、
見る人の受け取り方とか何を想像するかとかを理解しないと
いけないですもんね。たぶん。

初代『MOTHER』の
公式ガイドブック「MOTHER百科」のコラムによると、
糸井さんは当時、
ドラクエ』に衝撃を受けてゲームを作ろうと思ったそうです。
たぶん『ドラクエ』に、映画とも小説とも違う、
自分で主人公を動かして世界を旅し物語を作っていく感覚と、
ドット絵と8ビットサウンドで構成される
シンプルで適度に想像力を刺激する画面と音に、
「物語表現」の最強ツールを見出したんじゃないでしょうか。
ドラクエ』を動機に、
結果できあがった『MOTHER』シリーズをプレイすると、
そんなことを考えます。
「表現」の理想的なかたちを、「想像力」をキーにして探っていくと、
最適はなくても、どんな表現にも必要で、
最近わすれられてる気のする普遍的な要素が見つかるって、
ぼくは思うんですが、
糸井さんの作る『MOTHER』シリーズからは、
その要素が組み込まれてるのを感じました。

昨今のゲームの、
リアルなグラフィックと人格の作りこまれた主人公って、
クリエイターの思う通りのものを
プレイヤーに伝えるのが目的ならいいですけど、
それだと想像力がストップしてしまいますし、
ゲームなら想像の余地を残して――っていうか、
想像を膨らますのも膨らませないのも自由な
縛らない感じも必要なのでしょう。
「おもしろさ」を至上目的にするなら、
リアル路線でいくのは手段のひとつとしてはあっていいけど、
コストパフォーマンス低い気がして、やっててやきもきしますし。

えー、だから・・・・・・
リアルなグラフィックを求めりゃ良いってもんじゃないしキリないぞ、
XBOX360°にプレステ3
でも『ランブルローズXX』のみたいなアプローチは高く評価しているぞ!

話だいぶそれましたが『MOTHER3』です。
このゲーム、主人公の目を通してゲームの世界に触れるのではなく、
プレイヤーが直接ゲームの中とつながる部分があるんですが、
はじめどう受けたらいいか戸惑うんですけど、
だんだん、けっこう感動です。

レアアイテムとか隠しイベントとか、
ゲーム的な裏ネタは少ないと思うんですけど、
隠された意味やメッセージとかの、
ゲーム外に波及する哲学的な秘密がけっこう隠されてる気がするので、
考えようによってはやりこみ要素満載です。

      ◇

文章長いですね。
リアルで詳細なのがいいってわけじゃない、
って書いてて思いましたが、
このブログの文章もっと削らないときっと不親切。
もっともっともっと削らないと。
でも言いたいこと伝わってるのか不安だから、
つい文字数多くなっちゃうわけで、削るのこわいんですよねー。