アクセスカウンタのこと

気がついたら、
このブログのスカウターの数値が1万を超えてました。
ついに5ケタか……。
二重カウントされない設定なので、
価値のある1万です。
なんか、記念になんかやろうか。
――という考えは一瞬で霧散する。
ちょっと待って、自分で自分を祝うの?
記念だからって、自分で自分の手間ふやすって何?
あれ? でも、そもそもブログって、
やんなくていいのにやってる実生活の余計な手間だから、
前提からしておかしいから、
逆に、自分を祝うのってアリなの?
実社会とウェブとでは概念が歪曲して違っちゃってるの?

いや!
やりたいからやる、1万アクセス企画として、
HDの奥底に眠る、
思春期に書いた未完成の小説を載せるという
どうしようもないことをやります。
ただ、どうしようもないかどうかは皆さんが決めること。
ぼくは本当にどうしようもないな、と思います。

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      【無題】  書いた日:2001年1月


 規則的なようで不規則。そんな自然を象徴しているかのような小波が、夜のすこし肌寒い風をのせて、ただ黙々と波音を刻む。真っ暗で何も見えないはずの不気味な空間に、満天の星たちが自然の照明となってわずかな光をもたらしている。
 いつまでいても飽きないだろう。
 モスク島の夜のコルト海岸は、彼が最も好きな場所だった。
 毎日ここに来ないと落ち着かないようにすらなっている。ぼおっと波音を聞きながら海を眺めていて、そのまま寝てしまうこともあった。それで風邪をひいてしまったときは、年がいもなく、心配した両親に叱られもした。しかし両親を案じて家にいたのは一晩だけで、やはり落ち着かなくていらいらしたので、次の日からはまたここに来るようになっていた。
 そして今日も、いつものように砂の上に腰をおろして夜の海を眺めていた。と、
 ざっざっ…… 
 背後から砂を踏む音がした。音は彼のすぐ近くで止まる。彼は振り向いて、見上げた。そこにいたのは、光が少なくてもそれとわかる美しい顔をした長身の女性であった。一瞬顔だけしか確認できなかったので驚いたが、それはこの女性が、長い黒髪に黒のロングコートという夜に溶け込んだ格好をしていたからだろう。こんな場所には似合わない奇妙な姿ではある。それにはじめて見る顔のように思えた。モスク島は直径1キロメートル程度の小さな島だ。住民の顔ぐらいなら全員見覚えがある。かといって島の外から来たとは考えにくかった。特に観光名所も無いので毎日の暮らしは農業が主体であるこの島には、外から人間が来るとは思えなかったし、実際に今までがそうだった。疑念は本人の手前表情には出さないようにしたが。
 その女性の整った唇がわずかに開いた。
「こんばんは」
 穏やかでやさしい声だ。 
「……こんばんは」
 少し戸惑いつつ応じる。
 女性はそれを察してか、やさしく微笑んだ。彼は思わず見とれてしまった。屈託の無い笑顔。
「ここ、いい?」
 彼女はそう言って彼の傍らを示した。身構える必要が無いと判断した彼は、あっさり頷いた。
 ゆっくりと砂の上に腰を下ろして、彼女は視線を暗い海の彼方に向けて、口にする。
「静かで、とても穏やかな場所ね。それに不思議な。今はこんなに暗いのに少しも不気味さが無い」
 彼はじっと彼女の横顔を見つめていた。まだ見とれたまま。
「あなたは」
 彼女が振り向いて、彼の目をのぞきこむ。暗くて分からなかったが、黒瞳だ。
「何故ここに来るの?」
 一瞬どきりとしたが、彼は目をそらさなかった。
「……毎晩こんな場所で、夜ひとりで海や星を眺める理由なんて少ないと思うがな」
「ごめんなさい」
 彼女の表情が少し曇る。
「なんで謝る」
「失礼なこと訊いたと思って」
「なんのことだ?」
「失恋でしょう?」
「……違うからな。俺はこの場所にいるときが一番落ち着くんだよ」
 聞いて彼女は安堵の声。
「ああ、そういうこと。でも、何故ここにいると落ち着くの?」
「ん? あまり考えたことが無いな。なぜだろうか」
「この場所は好き?」
「ああ」少し声が明るくなる。「お気に入りだ」
「そう。やっぱり」
「やっぱり?」
「島の人にあなたが毎晩ここに来てるって聞いたのよ。それで、ね」
「そうか」 
 しばしの沈黙。そして彼。
「なあ、あんた誰なんだ?」
 少し考えたそぶりを見せ、彼女。
「それは言えないわ。けど、あなたに会った目的は調査と警告よ」
「調査ってのは、俺にこの場所のことを聞いたことか」
「そうよ」
「なんの調査なんだ?」
 問いに対して彼女は、ほとんどつぶやくように言った。
「……あなたの死に場所の……」
 彼女から、先ほどまでの穏やかな雰囲気がしなくなった。
 数秒の間。
 突然、彼女の顔から表情というものが無くなった。黒ずくめの女性は、まるで夜に溶け込んだかのように静かで、不気味な奇妙さをたたえた存在になっていた。
 何の感情も読み取ることができない目、彼の瞳を見つめていたその黒瞳が、巨大な、底の無い大穴のようだった。それが、彼の理性を飲み込もうとしている。
 次の瞬間、思考が彼の頭から吹き飛んだ。
 全身が粟立ち、緊張感が一瞬にして凝固した。            
 胸が圧迫され、呼吸が止まる。
 体は動くことを忘れてしまったようにその場で固まり、ただ鼓動だけが加速する。
 眼球が飛び出しそうなほどに見開かれ、一点を凝視していた。彼女の瞳。
 目線をそらせば、それだけで殺される。そんな思いが彼を支配していた。
 彼が感じているのは圧倒的な恐怖。彼女が発しているのは深い闇からの殺意。
「警告するわ。ちょうど今から五年後、わたしはあなたを殺す。あなたがどこで、何をしていようと、必ず……!」
 彼はほとんど意識を失いかけていた。が、彼女の声ははっきりと聞くことができた。
 そして体から急に力が抜けて、彼は仰向けに倒れこんだ。

      〈未完〉


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嬉しいはずの1万アクセス記念のくせに
しゅう恥ダメージまで被る。
歪曲してます。何やってるのかわからない。
あと、恥ずかしいけど、
今たまに書く小説とあんまり変わってない(*^^)v