存在しないのに存在するもの達

これ聴きながら書きました。BGMにどうぞ。

とかもやっていきたい。

バイトしているカフェに、

テレビの取材がやってきた。

テレビである。

あの、四角くって、

信じられない出来事や

恐ろしく脚のきれいな人間や

数百もの人間の横隔膜を同時に

痙攣されるゲーニンと呼ばれる怪人を

その中に映す、マシンである。

まあつまりテレビとは

実在しないもののことですね。

だからぼくは今日、霊体験をした。

もっとも霊が取材するのは店や

従業員であるぼくらではなく、

いま話題のギャルママの生き霊である。

というか、まあ……

元モー娘の辻ちゃんの、

ママでもギャルファッション!っていうのが

流行ってて、いまそういう若い母親が増えている。

で、その今回はその

ギャルママたちの取材だそうだ。

テレビの収録自体は

別の場所で行って、

うちでやるのは捕捉のインタビュー。

カメラは回らない。

店側はインタビューの場所を貸すという

かたちになる。

彼女らは昼過ぎにやってきた。

ギャルだ。

テレビやファッション誌で見るようなギャル。

まつげ長い、メイクは濃い目、

髪の毛もりもり、

服も派手。

肌は浅く焼けてる。

胸元ざっくりもいれば、

そんなに汗っかきなのか

全身タオル地なのもいる。

肩から上、全露出なんて強者もいた。

野球のエースピッチャーが見たら、

ウインドブレーカーを着せずにいられないだろう

露出度だ。

冷やすのは故障の原因となりますからね。

それはともかく

ウチの店のメインの客層は、

40代以降のおっちゃんおばちゃん、

あるいはおじいちゃんおばあちゃんである。

テーブル席は肌の浅黒いギャルの集会で貸し切りだが

カウンター席には常連のお客さんが来てくれる。

常連のおっちゃんが

奇異の表情でテーブル席の方を見る。

もっともだ。

いつもと全然空気ちがうもの。

ウチの店に集まるはずのないタイプの

ひとが集まってるのだから。

しかも彼女たちギャルママは

皆子連れである。

赤ちゃんが多い。

インタビューは3時間くらい続いたので

赤ちゃんがぐずり出す場面もあって、

一時店内は阿鼻叫喚となった。

フリーダムだった。

取材する側には番組ディレクターらしき男性と

ADらしき若い女性がいた。

ADがかわいかった。

派手すぎるギャルママばかり目に入るせいか、

普通の格好のADさんがかえって引き立つ。

アンジェラ・アキ似のメガネ美人です。

何より常に疲れてる感じが良かった。

刺激的なこの日のバイトでした。

まあ彼女たちが返った後、

従業員同士くちそろえて、

「あーやれやれ」とか言ってましたが。