ピピン 第2話

連続ブログ小説
ピピン


第2話 「あっ!」


~あらすじ~
 お昼に町を散歩していたら、どこからか悲鳴が。気になったけど腹ペコだったのでカフェでパンを食べたら、そのパンがなんともスーパーだったのだ!おいしくて懐かしい。これを作った人はどんな人だろう?


「あっ!」
 ウエイターに連れてきてもらったパン職人を見てぼくは驚いた。
「どうも、ペリフィンと申します。最近ウチの女房が『イネス・サロベッタ』に出てくるビーカネラ・オム・ニッケンに熱をあげておりまして家事もロクにしないものですから、そんなヤツのどこがいいんだと言ったら、アイツまるでヌアジン小僧みたいな顔をしてミンカツィオを貫く雷ばりに怒るもんで、私いま気分が不安定なのですが何か?」
 いらないことをたくさん喋ったペリフィンと名乗るパン職人はものすごい姿をしていた。人間ではなかった。ガンディラ・キプラ山の岩壁のようにたくましい胴体から、マイラの木の幹のように太くゴツゴツした手足が伸びていて、その全身が春のミクドリエ色の毛に覆われていた。太い首の上から見下ろす、パントテン地方の闘牛のような顔の威圧感は、ガルテア大婆の闇アマリスヘリ流・上段ゴリツェゴリのように僕の背筋を凍らせた。 彼、ペリフィンはギラアリテ地方に住む巨人族≪マコグリュエ・ベリエナハン≫だったのだ!
 いや、びっくりだ。


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