ピピン 第3話
連続ブログ小説
ピピン
第3話 後悔
~あらすじ~
カフェで食べたパンがおいしかったので、ウエイターに頼んで呼んでもらったペリフィンと名乗るパン職人が、なんと巨人族――≪マコグリュエ・ベリエナハン≫だったのにはたまげた!
びっくりしたけど気を取り直して言う。
「ペリフィンさん、このパンはすばらしいですね。とても懐かしい感じがしました」
「やあ、そうですか。ありがとうございます。ウチの女房もね、昔はそんなふうに私の焼いたパンを『おいしい。イチュバラ・モが舞い降りたみたい』なんてよく言ってくれてたんですけどね、最近のアイツときたらティータイムに私がパンを焼いても見向きもしないで、近所のホイソイマキリで買ってきた安物のコボボねりばっかり食べるんですよ。『パンは胃がもたれるから控えてるの』なんてこと言って、私の焼くパンはもう飽きたってはっきり言やあいいのにアイツ、沼飲み干すウロブイセン気取りかっていうんですよね」
「は、はあ……」
またいらない話をするペリフィンさんだけど、気になってたことを訊いてみる。
「ククルドーナ生地を使ったあのパンは、むかし僕の故郷でよく食べた物にそっくりなんです。あなたはもしかしてオルシャネイ市のご出身ですか?」
もし彼が同郷だったら……。
でもよく考えたらちょっと嫌になってきた。この怖い顔の人と故郷の話で盛り上がろうものなら、それはさぞかし気力が消耗することだろう。怖いから。
ああ、しまった。訊くんじゃなかった。
しかし返ってきた答えは意外なものだったのだ。
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