あたた!ごぼうパン

~ ぼくとパンと人間たち ~

第一回 ● 松 志郎 『あたた!ごぼうパン』


栃木県某市の松志郎さん(IT会社勤務)が残業つづきに疲れきったときに、頭をよぎったのはふるさとの母が作ってくれたごぼうたっぷりのみそ汁だった。
あのみそ汁が飲みたい。
イースト菌がパン生地をふくらませるようにふるさとへの想いを募らせていた松さんが脱サラして、ごぼうをパンにぶち込むに至るまでにそう時間はかからなかったのは自然な流れだろう。
ふるさとのみそ汁をみんなにも食べてもらいたい。その思いが「あたた!ごぼうパン」を生み出したのだ。
なぜパンか。松さんは快くこたえてくれた。
「ッス! ウチ貧乏だったんす! みそ汁飲むときくりぬいたコッペパンをこがして器にしたっす! ッス!」
なるほど、合点がいった。彼のルーツにはハングリーさがあふれているってわけか。
……え? 「あたた!ごぼうパン」の名前の由来? そんなこときくのは野暮だと……え? 気になるって? 安心してくれ。おれは、思い切って、訪ねたよ。
「ッス! ごぼうには繊維がいっぱい入ってるっしょ! 自分、ごぼう、虹っしょ! ッス!」
おれはふかい感嘆のため息をもらさずにはいられなかった。腸のはたらきを助け、便秘が「あたた!」と、ぽんぽんぽん!と解消するから、だって!? な~る。 

では実際に食べてみましょう。
ぱくっ。
もぐもぐもぐ…
もぐもぐもぐ…

ぺっ!!



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