若人の作品展と巨匠の絵画展

近畿地方は昨日今日、雪と強風でとっても寒いです。
先日、そんな気候にぴったりの
「不安」や「絶望」などの絵画で有名な『ムンク展』観に
兵庫県立美術館に行ってきました。
でも、同じ美術館で、
神戸のアート・デザインの専門学校の作品展やってたので
まずそっち先に観ました。ぼくも一応芸大生だったので。
自分のこと棚にあげて言いますけど、
良くも悪くも若さ爆発の作品群でした。
そういうの見てると、なんかまた作品つくりたくなってきます。
でも、大半はなんか見たことあるような、
既存の有名な作品から受けた印象を
ほとんど噛み砕かずに使ってるなって感じがして、
それはどうかと思いました。
自分自身で経験したことが根っこになくて、
誰かが作ったものから得た
他人の経験を根っこにしてるのが多かったです。
既存によっかかってしまいそうになるのところでもうひとあがきして、
「自分」をねじ込まないと。
でも、制作がなかなかうまくいかないときって、
既存に甘えちゃいますよね。すごくわかります。

それから本来の目的の、「ムンク展」です。
あんまり言葉で説明できないですけど、
色鮮やかな絵なんですけど
そこに深い穴があいてるような印象を受けました。
全体的に、こわい。
例えば「死」を描いた作品は、
それをみたとき、物語とかでいろんな意味を付け加えて
キレイに語られることの多い「人の死」が、
ほんとは単純にいやで悲しくて、
一言くらいしか喋ったことのない人に訪れたって
気持ちがわるくなることだと思いだしてしまいます。
ベッドで息をひきとった人と、
そのまわりを囲んで悲しむ人たちを描いた絵があったんですけど、
少女がひとりだけこっちを向いてるんですね。
その絵を見ている人のほうを。
本来の意図はぼくにはわかりませんけど、
この少女が絵の中の沈鬱な死の空気を、
視線がぶつかることで絵の外にまで漏出させてるんだと思いました。
あと特徴的なのは、感情を描いてるのに
描かれてる人に表情がないものが多いということです。
顔がないものもあります。
ここに得体のしれないこわさがあります。
色や情景とか、絵全体で語ってるんだとは思いますけど、
その感情の主である人間が無表情なのはとても奇妙に見えます。
こういう絵画展って自分でははじめて行ったんですけど、
今ほど表現の手段が豊富でなかったころの
絵の力とか濃度ってすごいと思いました。