消力《シャオリー》

 こんな、夢を視た。

 僕は黄色い小さな花のプランターを持っていて、それを部屋に持ち帰った。
 鉢に移しベランダに飾って、一度ぼくは寝て、起きると、花は茎の高さが1メートルほどになっており玉子大だった花弁はラフレシアのように肥大していた。
 びっくりしたぼくは、鉢を持って右往左往した。するとゆすった刺激で、花が鉢ごとびくんびくん脈打ち始めた。ずるるるるる、とものすごい速さで茎を伸ばし花弁をひろげ、根をもりもり増やして、すぐに鉢に収まらなくなり、ぼくの手から根に破られた鉢の残骸と土がこぼれた。
 太く長く強靭に、そして無数に枝分かれしていく根に捕まりそうになったので、ベランダから部屋に飛び込んだ。
 必死だったが、やるべきことはわかっていた。
 ぼくはテレビの横に置いてある100均で買ったプラスチックケースの中からある物を取り出した。相手がどんな異形だろうと無力化してしまえる切り札。ぼくはそれの力に絶対の信頼を置いていた。
 依然ベランダで成長を続ける花。もう部屋の中からだと、ずるるるる、と蠢く根しか見えない。
 ぼくは切り札を持って部屋から飛び出した。そしてベランダを埋め尽くす根の茂みの中に、手に持った切り札PS2専用ゲームソフト『バウンサー』を突っ込んだ。
 するとどうだろう! みるみる縮んでいく花。すごい! やっぱりだ!
 数秒後ベランダには、元の大きさに戻ってしぼんだ黄色い花と、花に飾られるようにして横たわる『バウンサー』のパッケージが残された。
 ありがとう、おやすみ。『バウンサー』。ぼくは、ごく自然に手を合わせていた。

 という、夢を視た。

   * * * * *

こんな長々と夢の話を書いてごめんっ。
でも、『バウンサー』はすごいんだぞってこと、伝えたかったんだ!