千鳥の振る舞いを楽しむの巻

うめだ花月~千鳥ライブ待ち

うめだ花月へ。
午後9時半開演の千鳥の単独ライブ
うめだ花月芸人としての振る舞い』
を観て来ました。
千鳥は、岡山出身のつっこみのノブとボケの大悟のコンビ。
土着チンピラ漫才を中心に、
最近は北欧の文化や日本のおとぎ話、
山や海のありようなど、
国や地域に根付いた自然や文化などを土台に
それに関わる人を描いた漫才を展開しています。
でもその漫才の性質ははっきりいって「あほ」です。
今の若手芸人では、
正統派のしゃべくり漫才のほうが少ないとはいえ、
千鳥の漫才のあほさとてきとうさは群を抜いています。
ライブでは4つのネタが演じられましたが、
その中のひとつで、
「子どもが山を歩いていると、
誤って地元の猟師がイノシシを捕えるために仕掛けた
トラバサミにかかってしまい、
身動きが取れないところをイノシシに襲われる」
というネタがあったんですけど、
罠にかかってしまった子ども役のノブの前に現れた
イノシシ役の大悟が、
しゃべる木とか動物の音楽隊とか
地面を這っていく水の妖怪とかの形態模写を延々やり、
罠にかかって寝そべるノブが、
ときおり「大悟」とか「イノシシはどしたんじゃ」とか
つぶやきながらただただ見ている、というものでした。
大の大人が何やってるんだろう?
というこれぞ千鳥の真骨頂って感じで
とても満足できました。


屈指のあほさを誇るネタ「シャロン・ストーン
(ライブではやられなかったネタですが)


ネタの間にゲストとのトークコーナーがあって、
今回のゲストは矢野兵動の矢野さん。
齢38にして金髪に、
エスニック模様が配されたジージャンという派手ないでたちの
中堅芸人さんです。
最近では業界用語キャラとして人気で、
くちぐせは「パイセン(先輩)やで」。
矢野さんのトークでは、
頻発する食品偽装問題への提言、
問題を起こした企業のその後の身の振り方や、
半身浴の具体的な効能、
クワガタムシの飼育方法、
それから2児のシングルマザーとの結婚、
既に十代の娘たちとの生活、
娘たちの父親として、よき友人としての付き合い方、
とかの話が聴け、
総合して、この日、矢野っていう人は、
めちゃくちゃ筋の通った大人だと思いました。
大きい声でよう喋るしばりばり動くのに、
気をつかうとこはちゃんとするっていうのは、
なかなかいない、と思う。
大きい声なのもきびきび行動するのも、
自分に自信を持ち、責任と覚悟をしっかり自覚してるから
だと思うので、思い返せば、
そんな人ぼくの周りにはあんまいなかったなあ。
あと、矢野さんおもしろかったです。

で、なんとなく思ったのは、
芸人やタレントっていうのは、
必ず「誰か」じゃなくてはならないってこと。
普通の人なら、流行に合わせたり、
盛り上がってる話の輪に入りたがったり、
個性派を謳いつつも
そのカテゴリの中の安心できる多数派に
引き寄せられたりして、
いろんな原因で知らないうちに個性が
薄まっちゃってたりするもののような気が
するんですけど、
こういう人たちって
例えば「千鳥・ノブ」だったり「大悟」だったり、
その人を表すにはその人の名前を言うのが一番というか、
「誰かっぽい」じゃなくて
ノブとか大悟っていう名前のキャラクターで、
ぼくらはそういうキャラクターの中から
○○っぽいとか言われる側で、
でもそういうと、
彼らは有名だからキャラクターとして成り立つ
っていう意見もあるかもしれませんけど、
生で見ると違うとわかる。
有名だからひとつのキャラクターとして
認められてるんじゃなくて、本当はその逆。
その人を知らない他人でも笑えるおもしろい話を、
大きな声で自信たっぷりに明瞭に喋るって
すごいことだ。
大抵は、内輪でそこそこおもしろい話を
小さな声で、または大きな声で喋ると
他人は迷惑そうにされながら、
やっと起こる笑いの成分は
半分近くが愛想笑いで、
っていうのがやっとの気がします。
まあ普通は愛想笑いでもなんでも、
気安い空気ならそれが楽しいから
いいんですけど。
(愛想笑いっていう言葉のイメージがわるい)

ともあれ、ライブには満足しました。
来週は『笑い飯・千鳥の大喜利ライブ』です。
ただ、地元の兵庫でも大阪でも予定合う人いなくて
ひとりなんですよね。