この世はでっかい宝島

今日、ショッピングモール内のカフェのバイトは
日曜日ってことで忙しかったんですけど、
シフト的に人手が足らなかったので、
別の店舗から助っ人が一人来てました。
18才・男性、コウノくん(仮名)です。

仕事の合間、
コウノくんに話を訊くと、
役者を目指しながらフリーターやってるって。
へーっと思いました。
たまにちょっとしたロケとかで東京いったりと、
しっかり行動もしてるそう。
まあ、本人曰く、「まだ卵ですらない」らしいですから、
ロケっていっても、
端役の、しかもオーディションだったりするのかもしれませんけど、
まあ、ちゃんと目指す方向に動いている。

(このへんからグチっぽくなりますよ)

で、コウノくんが勤務終えて帰ったあと、
今日いっしょに閉店まで勤務だった
年下の先輩モリタさん(仮名)と
コウノくんが役者を目指してるってことについて話してて、
いつも大したことない意見を
「みんなわかってないようだけど俺はわかってるよ」的に
彼なりの理論たっぷりに長々と喋るモリタさんは、
コウノくんの目指す目標と
それに向かって行動してることについて、
こんなふうに言ってたよ。

「無理やと思いますよ。でもそれは今のままではって意味でね。
まあ彼も何かにぶつかって変わることもあるかもわかりませんしね。
でも、言ったら将来芽が出る可能性なんて低いじゃないですか。
今は独り身だからいいですけど、
家族が出来たりしたらそんなことやってられなくなりますよ。
ただ独り身だからって、
親が役者目指すことに賛成してるならいいですけど、
そうじゃなかったら、やめたほうがいいと思いますよ。
どっちにしたって、役者目指すより、
もっとちゃんと収入の見込める仕事についたほうが、
後になって路頭に迷ったり、
家族とか困らせないですむんですから、
そこらへん考えたらわかりそうなもんなんですけどね」

正気か! 若くしてなんてつまんねえ野郎だ!
と思いました。
ぼくは、
コウノくんが役者を目指してることより、
目標に向かってちゃんと行動してるってことに対して、
尊敬の念を抱いたんですけど、
モリタさんの弁では、
行動を起こしたことすら買ってないってことなんですね。
「冷静に考えたらわかるでしょ。
無難がいいじゃないですか」って。
でも、そういうモリタさんだって、
何が無難かとかを判断する価値観は、
自分が実際に行動したことから来てて、
価値観はその積み重ねでできてるはずなのに。

行動を起こすと、
行動を起こす前に確信をもって考えていたことが、
根底から覆ることが多々あります。
百聞は一見にしかずというか。
だって、遠くから様子をうかがってても、
何も聞こえないし、何も見えないですし、
だいたい言葉でいくら諭されたって
「んーそうは思うんですけど」ってなることはなるけど、
実際に自分で経験してみないと本心で納得はできない。

で、まあ、モリタさんのお話に
とてもカチンときてちょっと反論もしたんですけど、
なんか彼には頑ななとこあってのれんに腕押しな感触で、
でも確かに行動の伴わない理屈だけの反論では
説得力に欠けるのも事実なので、
ぼくは、なんだかすごく、
どんな目標でも困難だからって
一歩も踏み出さないんじゃなくて
挑戦してみたら達成しちゃうこともあるって
ことを証明したくなって、
なんかでっかいことするぞお! っていう気分です、今。
翌朝までこの気分持続するだろうか。
あとこのモリタさんのことを書いてると
すごく耳が痛い気分。
ぼくがモリタさんに対するような印象を
ぼくが誰かにもたれてないだろうか、って。