良い展

先日梅田で、

世界報道写真展」を観てきました。

世界報道写真展とは、

世界の報道の写真の展のことで、

写真のちから、訴求力、

世界の現実、そこにあるリアリティを感じることのできる、

とても意義深い、展です。

その展にぼくは、

その展を何度か鑑賞しているという

カメラ機能付き風車というか友人の、

五右衛門くんと観に行ってきたわけです。

彼のお誘いで行ったのですが、

行って良かった。

良かったっていうと、語弊が少しある。

この展で展示されてる報道写真には、

悲しく無慈悲な暴力の写真が多かったからだ。

でも、知識のないぼくが

今も世界で起こっている不条理な現実を

ひと目で強く意識してしまうことができたのだから、

その点はその展に行って良かったと思う。

純粋な意味で良かったこともある。

この、胸が苦しくなるような写真が

数多く展示されている展の会場の、

入り口にいる受付のお姉さん方のことだ。

愛嬌のある、身綺麗にしたお姉さん方なのだが、

ぼくがチケットを渡し、

かわりに案内のチラシと半券を手渡してくれたとき、

「ごゆっくりお楽しみください」

と仰っていた。

決まり文句のようなものだから、

何の問題もないのだけど、

展示されてる写真の内容を鑑みると

楽しむという心持ちではいられないのだけど、

辛いことがはじまるときに、

あえて「パーティの始まりだ!」とか言うのと

同じ感覚で、

つらいことをつらい言葉で表わさず、

逆のイメージの言葉をくちにする、

ちょっと粋な表現だと思う。

それか、

不条理な現実を知ることになる場に

「お楽しみください」と笑顔で

送りだす彼女はSなのだろうか。

その可能性は少し、ある。

受付のお姉さんが、

その可能性を感じさせてくれたこと、

その可能性を残しておいてくれたこと――

それが良かった。

皆さんも、感じてみませんか。

その可能性を。

という動機でも良いので、

会場近くに用事のある方は

この展に立ち寄られてはいかがでしょう。

取材記事を読むより速く強く、

危機感と切迫感を抱くことができます。